音を聴く
演奏するためにとても大切なことがあります。
音を聴く
という事です。
テクニックを身につけることは基本的なことですが、ピアノを弾くのには基礎練だ!と指ばかりを動かして音を聴かないのは本末転倒です。テクニックを身につける目的は、弾きたい曲を演奏するため、自分からでる音楽を理想に近づけるため、出したい音色をコントロールするために技術を磨くのです。
その為には先ずは自分の音を聴く…聴覚で音を感知しているという聴き方ではなく、能動的に聴くのです。そして音を聴くために正しい音色も知る必要があります。
超一流の演奏家の音を生で聴くというのが一番ですが、音楽鑑賞が生活のメインでもない限りそう頻繁には聴きに行く事は叶わない人が殆どでしょう。しかし現在はその音源も手に入りやすく、様々な演奏を聴く事が出来る世の中になりました。たくさんの演奏を聴き、そしてその真似をしてる風にひくのではなく自身の出している音とを客観的に聴き比べるところから音を聴く事は始まります。
自分の音が、理想の音からかけ離れている事を認識し、美しい音を奏でたいという欲求を持つ事ができれば、自分の出す音を能動的に聴くという第一歩を踏み出せたという事になるでしょう。そして今度は受働的に音を聴くという変化が起こってきます。何も意識せず音が入ってくるような感覚です。こうなると自分の演奏と音楽を自由に操れるようになります。
音を正しく聴く事ができるようになった時、そこに広がる音楽の世界は無限に美しいものである事は間違いありません。