ソロとアンサンブル
ピアノ演奏は、他の楽器とは違って独奏(ソロ)で弾くことが多いですが、演奏形態は大きく4つに分類されます。
- 独奏
- 協奏
- 室内楽
- 伴奏
2~4はアンサンブルですが上からにパフォーマンスエネルギーが高い順番になります。同じピアノ演奏といっても各分類ごとに演奏に違いがあり、その形態によって弾き分けなければなりません。
独奏
独奏においてはすべてが一人で賄うことになるので、すべてが自己責任で、そして演奏者の最大限のパフォーマンスを晒すことが許されます。
協奏
協奏曲演奏においては、最大限のパフォーマンスを晒せるというという点では独奏と同じですが、オーケストラという大きな集団を伴うのでそれに呑まれないだけの力量を求められます。そしてアンサンブルの面では少なくとも指揮者や各パートの首席、オケ内に点在するソロパート奏者とのコミュニケーションをとりつつ演奏しなければなりません。
室内楽
室内楽は、2~7,8人の演奏者との共演します。人数によってピアノパートが担う音の量は変わってきますが、2,3人の場合はほぼ対等、4人以上になると、ピアノ対他のアンサンブルという形になっています。そしてその相手の音楽の力量によって自分が晒せるパフォーマンスの量が変動させることが求められます。室内楽は「みんなで弾く」ということがとても大事です。だから集団心理として「リンゲルマン効果」あってソロ演奏よりマックスのレベルが下がってしまう現象が起こっています。
伴奏
伴奏は、室内楽と捕らえるか脇役に徹するのかは個人の見解がありますが、ソロを立てソロが弾きやすいように従うことが殆どです。ピアニストのできる音楽主張は、時々頂けるソリスティックなメロディーラインを相手を超えないように弾くことしか許されないため決して自我の強い演奏はできません。オーケストラのトゥッティに似た音型などにおいての「リンゲルマン効果」はありますが、相手を立てるという緊張感を伴っています。
各分野の必要性
ピアノ専攻者は大学に入るまではソロ演奏におもむきをおいて勉強してきますが、大学生以上になり「伴奏」や「室内楽」のカテゴリーを知るようになると、これまでの「ノーミスで弾け」や「暗譜しなさい」などといった苦痛を伴う練習を強いられるソロ演奏とはちがい、楽譜が見れてソロよりも音が少なく、そして相手がいる演奏は楽しいし寂しくない。と、そちらの分野ばかりに偏っていく人も少なくありません。
しかし、ピアノ奏者にとってはどの分野も必要で欠くことができないものなのです。
ソロばかり演奏しているとアンサンブルをした時、相手がいることを忘れ独りよがりの演奏になりがちです。しかし伴奏や室内楽ばかり演奏していると表現の幅が狭くなってしまいます。ソロの技術を磨きキープし続けながら室内楽や伴奏を取り入れる。というのがベストバランスです。各個人のレベルがキープされ確かなものであれば、アンサンブルの演奏はより楽しむ事ができ、そしてより質の高い音楽を作っていくことができるでしょう。