インヴェンション ①
インヴェンションとシンフォニアについて
J.S.バッハ インヴェンションとシンフォニアは対位法という作曲技法の知識を得るために書かれたピアノ学習者には必須の教材です。
対位法というのは、バッハの時代以前から音楽の形式として長く存在するもので、1声、2声…などと表記されるように、歌の音楽から発生しています。旋律と伴奏という古典派時代の親しみやすい明らかに主役と脇役の存在はなく、対位法ではすべての声部に等しく主旋律(テーマ)と対旋律や経過句などを割り当てられています。
J.S.バッハ インヴェンションは2声…つまり右手と左手に各一本つずつのメロディーで書かれていて、3声、4声のフーガという少し複雑な対位法の前に押さえておかなければならない基本的な対位法です。
旋律と伴奏の音楽ばかりを演奏していると、どうしても伴奏部分の左手への意識の向き方が弱くなってしまいがちですが、インヴェンションは左手にもしっかりと主張した旋律があり、主旋律とそうでないものとの弾き分けを明確に行わなければなりません。聞き取りにくく動かしにくい左手パートにも行き届いた演奏が必要となってきます。
作曲の経緯
J.S.バッハは2回の結婚において子供が20人いました。その中の息子たちが最初のバッハの弟子となったのですが、J.S.バッハは彼らに教授する中でさらに自身の作曲技法も熟練させて行きました。その様子が様々な写譜や書き込みの残った楽譜から顕著にみられるものの一つがこのインヴェンションです。
よって、とても簡潔で弟子達に対位法の様々な手法を短い楽曲で示しており、ピアノを学ぶ上でこれらを理解することは、その後の時代の音楽の理解をさらに深める事ができ、またより楽しむことができるでしょう。
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