モシュコフスキー 15の熟練のための練習曲集Op.72
モシュコフスキー Op.72について
モシュコフスキー「15の熟練のための練習曲集 Op.72」(15 Études de virtuosité pour piano Op.72)は、洒落た旋律や和声を用いて華やかな技巧で書かれています。ツェルニー練習曲よりも音楽的ニュアンスを多く含んでいて、ショパンエチュードより技術的な負荷が軽いという位置づけでしょう。
分類
15の練習曲集は、音階、アルペジオ系・和音系・重音系・オクターブ系の4つの技術に大きく分類され、各曲はその技術の1~2つにスポットを当てられて書かれています。各曲の分類は以下(音階アルペジオに和音を含むものの扱いには見識は様々ですが、技術的習練の比重によって分類しています)。
- 音階アルペジオ系・・・5,7、11,12,14
- 音階アルペジオ・和音系・・・1、2,6,10
- 和音・重音系・・・3、8,13,15
- 重音・オクターブ系・・・4
- オクターブ系・・・9
内容
モシュコフスキー「15の熟練のための練習曲」は指の独立性の習練はもちろんですが、特に重音やオクターブの技術に必要な手の甲の筋力と、音域の広い音階系の技術において関節の柔軟性の習練を重視しており、そして旋律の歌いまわしやペダリングといった表現技術を求められています。
これらの練習曲は、旋律や和声の華麗さから多くのヴィルトゥオーゾがコンサートのアンコールに演奏しています(6、11、12番など)。美しく爽やかで音楽的なモシュコフスキーの練習曲は、ロマン、近現代作品には欠かせない音楽の微妙なニュアンス表現や繊細な音色作りといった更に高度な表現技術の習得に役立つものとなってくれることでしょう。