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ピアノ弾きはなぜ暗譜で演奏しなければならないのか

2016年8月1日

ピアノ独奏には暗譜演奏が求められている昨今ですが、他の楽器の人たちは楽譜を見て演奏していることが多いのに、なぜピアノ弾きは暗譜をしなければならないのでしょうか

ロマン派の時代までは、鍵盤楽器を演奏する音楽家は、基本的に作曲や他の楽器の演奏もマルチにこなすというのが定義でした。主に自分の作品を演奏するわけですから、わざわざ覚えるという作業は必要ではなく、現在ほどミスに対して神経質でもなかったと考えられます。

ところが19世紀末~20世紀初頭にかけて、演奏だけに特化した音楽家・・・「演奏家」というカテゴリーが生まれます(現在の音楽家の多くはこれに相当します)。演奏家は他人の作品を演奏するわけですから、楽譜を読むという視覚的作業が加わります。

そこからパフォーマンスとして成立するまで…つまりは、身体に入るまで練習するのですが、その行程で普通であればある程度は覚えてしまうものではありますが、なにせ人様の作品ですから、一語一句逃さず覚えているという確証はありません。

演奏時は心理的には楽譜を目の前において確認をしながら演奏したいところでしょうが、ピアノ弾きの場合は、まず楽譜が大譜表で他の単旋律楽器の譜面よりすぐに次のページがきてしまうし、あいにく両手が演奏によってふさがってしまっており、人の手を借りずに譜面をめくることがかなり難しい状況なのです。

アンサンブルなど他との兼ね合いのある場合はそれを理由に譜めくりをつけて楽譜を見ながら演奏しますが、独奏の場合はよほどの巨匠でなければ、まず印象を悪くもたれるという風潮もあり、暗譜は必須ということになっているのです。

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暗譜

Posted by kazuoney