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オケパートのピアノ伴奏

ピアノ専攻者や多くのピアニストが経験する最も多いアンサンブルの一つが、「伴奏」とされる分野です。

各独奏楽器の協奏曲やオペラアリアのオーケストラパートのリダクションを演奏する、また比較的主張する要素が少ないピアノとソロ楽器による小品などです。

これはソロ楽器の履修者が試験やコンクールなどで課題になる事が多いからと言えるでしょう。この伴奏という立場において、オーケストラパートのリダクション譜についてとその演奏に求められる事についてお話しましょう。

協奏曲はオーケストラとソロ楽器で演奏するために描かれています。ピアノ伴奏では大人数で演奏するオーケストラ部分を、雰囲気を損わずピアノ一人で弾けるよう編曲したものを演奏します。

一つの楽曲でいくつもの編曲が存在し編曲者ごとにスコアから拾い出す音が違うため、音を忠実に拾い出したものもあれば、ピアノで演奏した時にそれっぽく聞こえるように全く違った形に書き換えられていたりと様々です。音が全く足りなかったり、あるいは多くの音を抽出したがため演奏不可能な楽譜も存在します。

読譜の上ではまず、不可能な個所を演奏者自身が弾けるように工夫する事が求められます。そして比較的演奏しやすい楽譜でも、そのまま演奏してしまうと、全く違った雰囲気の作品になってしまいます。そこで重要な事は、

 1.オケスコアを読んで、どんな楽器で演奏されている部分を弾いているのかを理解する。
 2.オーケストラの音を聴き、ピアノ譜に書かれている音が、どのようなバランスで聴こえるべきなのかを確認する。

このような楽譜の読み方をするだけで、ピアノパートがオーケストラの雰囲気に一歩近づきます。

あともう一つ「全部弾きすぎない」事も必要です。ピアノ弾きはどうしても幼少からの教育の名残で全部の音を弾きすぎる傾向にあります。オーケストラは様々な波形を持つ楽器が混ざり合って深いコントラストを作り出す演奏形態で、楽譜上に沢山音符が書かれていても実際には模様や響きになっている場合も少なくありません。各楽器の音の出方の特性に似せた発音の仕方で演奏すると、更にオーケストラの雰囲気に近づくでしょう。

アンサンブルの一要素である「合せる」という点においては、俊敏性のないオケに自由なソロが演奏する形態なので、それぞれに独立性がありそれほど難しくはありません。

もちろん楽曲にもよりますが拍の大きなフレーズポイントが合えば無難に音楽が進行していきます。

しかし協奏曲伴奏のピアノパートはリダクションといわれるように、もとは多くの種類の楽器で演奏されるものをピアノという一つの楽器で基本一人で演奏しなければなりません。多くの技量を求められるアンサンブルと言えるでしょう。

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