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室内楽のピアノ②

ピアニストが室内楽でよく演奏されるのは、デュオ、トリオ、カルテット、クインテットにおいてです。その4形態のピアノパートの特徴と留意点について述べていきます。

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デュオ

ピアノと各楽器それぞれ1対1で演奏する形態で、声楽、弦楽、管楽、ピアノと共演します。また各楽器が低音域なのか、高音域なのかでバランスも変わっていきます。音楽の責任や担う音の量も主導権があるところでは、たとえ f (フォルテ)と書かれていたとしても大きく弾く必要がない場合もあり、総体的なバランスが求められます。

1対1なのでお互いの意見が届きやすい形態といえます。アンサンブルの場合、ピアノ主導ではなく共演楽器の主導でリハされているケースが多いでしょう。(年功や地位の立場の強い方が共演の場合は主導権はそちら)

トリオ

ピアノと弦楽器、ピアノと管楽器のようにピアノ以外が同属でのアンサンブルが多い形態です。デュオとの違いは、共演楽器が高音、低音、両方存在するという事です(例外もあります)。低音楽器が入る事で高音楽器も必然的にその倍音に共鳴してより音の響きが豊かになる形態です。低音はピアノの左手部分と同じような動きをする事も多く、発音というより響きの役割を果たす事が多いですが、主導権を持っている箇所では音のエッジがピアノの方が勝ってしまうため特にバランスが求められます。

人数の多い形態より各パートが独立性をもってソリスティックに演奏でき、且つ音響も音楽も分厚くなるのがトリオでしょう。1対1のデュオに比べて弦楽器、または管楽器同士の折り合いをつける作業があり、比較的個人技にゆだねられる場合が多い。

カルテット

ここでは最もメジャーな弦楽四重奏ではなく、ピアノを含む四重奏のお話をします。ピアノと弦楽器、または管楽器が3人という組み合わせで演奏します。ピアノ以外のパートが満遍なく各音域を担うので、トリオに比べてピアノが担う和声の負荷が軽くなる印象をもちます。中音域に特化した楽器が加わるため、弦楽や管楽同士の縦のハーモニー、メロディーと対旋律といった横の流れがより複雑に絡み美しい響きを作り出す演奏形態です。

クインテットの弦または管のアンサンブル+ピアノ、という感じも随所ありつつ、トリオのように各楽器とそれぞれ独立的に絡む要素も多く、各パートに最も気配りを要とするアンサンブル。

クインテット

ピアノと弦楽器または管楽器カルテットという一塊とのアンサンブルです。上記3つの形態に比べ、各楽器との対話よりカルテット全体とアンサンブルをしている、または大勢の中の一員といった集団感覚になります。個々の楽器とのやりとりの箇所もありますがそれほど長いフレーズではなく、その多くがピアノとそれ以外の楽器という形で音楽が存在します。

カルテット内での様々な打合せが圧倒的に多くなり、上記3形態よりもさらに拍感をキープすることが大切になってきます。しかしそのおかげで厚みと確かな拍感で進行が安定するためソリスティックなメロディーを受け止める事が可能になり、ピアノの独奏的なルバートは表現しやすくなります。その点では協奏曲に少々傾く演奏形態といえるでしょう。

次では各楽器によるごとのアンサンブルの違いを述べていきます。

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