室内楽の合せ
室内楽は、出てくる音楽も人間関係も人間性も必要で、すべてにおいてバランスが大切です。各プレーヤーのポテンシャルや経験値、そして合せに対する価値観や方向性も大きく関わってきます。
うまくバランスが取れ、良いテンポ感で合せが進行するアンサンブルは大きく2通りあります。
1.運びがうまいリーダー的存在についていく
2.皆の意見をほど良く出し合い、固執した意見なくまわっていく
それとは逆に、アンサンブルがうまくかみ合わなく感じるものは大きく以下3つ
1.ポテンシャルや経験値の差がありすぎる
2.リーダーの資質のない人が支配的に仕切る
3.自分の練習や自分の理解のためににメンバーを付き合わせる
室内楽経験が浅い若い頃には、こういったやり難さの経験も、その後の沢山の出会いの中で起こる様々な事への対処を学ぶ点でも必要でしょう。
しかしある程度の経験を積んで行くと、やり難さを感じさせると共演させて頂く機会が激減してしまいます。合せをする上でとても大切な事はまとめて以下3つ。
1.合せ全体の流れとスピード感
2.要点を端的に伝える
3.相手を信用し自分の仕事を全うする事
時に音楽への強いこだわりや自己顕示のすぎる共演者は、自分の音楽や方法論を相手に要求しすぎる事があり、それは意見を出し合っているというより、その人の練習に付き合わせられているように感じ、また信頼されていないのだな、一緒に演奏したいわけではないのだな、と感じさせてしまいます。
ある程度の経験を積んだ者同士は、それなりに自身のやり方や音楽のすり合わせ方を持ち寄り、出てきた音がそうなるようにだけを共通認識として持ち、あとは相手に任せなければ、窮屈で反発を呼ぶし、音が喧嘩あるいはとても表現とは言えない音がしてしまいます。
長く続く人間関係も然りです。アンサンブルは人間関係の構築と文化交流です。