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室内楽のピアノ①

室内楽においてのピアノのオケパート伴奏との大きな違いは、そもそもがピアノで演奏するために作曲されているという事です。

作曲者がピアノという楽器の特性や音の響き、またその技術を熟知して書かれているため、他の楽器と絡んだ時にピアノらしい存在を発揮するように書かれています。

ピアノ弾きが他の楽器とアンサンブルをする上で先ず大切なのが、共演楽器の音のなり方や奏法をよく知る事です。ピアノは猫でも弾けてしまうように簡単に音がなってしまう楽器です。

声楽、弦楽器、管楽器、それぞれによって、発音するアクションから音が鳴るまでに個性があり、そのアクションや呼吸を同調させなければ必ずと言ってよいほどピアノがフライングしてしまいます。そして常に音が立ってピアノだけが先走りしてしまうように聴こえてしまいます。

また一人で演奏する事に慣れてしまっている場合は共演者を放っておいて強引な音楽運びになるし、伴奏で自己制限する事に慣れてしまっている場合は、主張が足りず音楽が単調あるいはとても小さなものになってしまいます。

室内楽は共演者の音楽の力量によってもパワーや音楽のバランスに配慮しなければならない事が沢山あり、演奏技術はもちろん、全体を把握しバランスを取る力、個々の音楽の大きさ、そして人間力も問われる社会的要素の強い演奏形態です。

一人で音楽が成り立ってしまう事に慣れ親しんでいるピアノ弾きにとって室内楽は、一種の異文化交流でもあります。

室内楽では編成や共演する楽器によってピアノが担う音楽的な責任も変わってきます。次は各編成において筆者が感じるピアノと他の楽器とのバランスの違いや留意点などを述べていきます。

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